消費者事件としての預託金被害

(なお、一庫事件につきましては、原告の募集を終了しております。)

■ ゴルフ会員権とは

ゴルフ会員権とは、ゴルフ場を利用してプレーできる権利のことです。会員とゴルフ場経営者との間で締結された契約上の地位であり、ゴルフ場施設の継続的優遇利用を内容とするものです。ゴルフ場経営者に対する入会申込が承諾されることで発生します。

■ 預託金とは

多くのゴルフ場の規約では、入会手続の際、「本クラブの入会は会社の定める手続に従って入会申込手続を行い、会員資格預り金を入会と同時に会社に支払うことによりこれをなすこととする。」等として、一定の金額をゴルフ場に預け入れることが条件とされています。これを預託金と呼びます。
預託金は一般的に相当高額であり、しかも、どれだけ長期間預け入れても利子はつきません。ゴルフ場側は、このように会員から預かった預託金を無利子で運用して、開発資金などに充てるのです。

■ 預託金返還請求とは

預託金は、通常、入会後10年~20年といった一定の据置期間の経過後、退会手続をすれば返還してもらえることになっています。
ですから、預託金を支払って会員証の発行を受けた後、据置期間が経過すれば、退会と同時に支払済の預託金全額の返還を受けることができるはずです。
ところが、ゴルフ場の経営が苦しいという理由で、あれこれ理由をつけて預託金返還を拒否するゴルフ場経営者が増えてきました。
たとえば、突如一方的に据置期間を延長して、延長した期間が経過するまでは返還に応じない等の対応をしてくるのです。このようなトラブルについては、多くの裁判が起こされましたが、当然ながら、裁判所は、これらのゴルフ場の主張をほとんど認めず、預託金の返還を命じる判決が立て続けに出されました。
そこで、ゴルフ場経営者側は、預託金返還をしないですむように、据置期間の延長以外の様々な方法を画策してくるようになりました。
その一例が、ゴルフ場の営業を他の別会社に移転してしまい、ゴルフ場の営業によって生み出される売上を全てその別会社のものにしてしまうというスキームです。そうすると、元のゴルフ場経営会社にはお金がなくなってしまいますので、会員は、事実上、預託金請求権を行使できなくなってしまいます。
しかし、このようなスキームによる責任逃れを許すことは、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差」(消費者基本法1条)による消費者被害といってよいのではないでしょうか。

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