一庫ゴルフ会員権事件とは

(なお、一庫事件につきましては、原告の募集を終了しております。)

■事件の概要

「一庫開発」が経営していた兵庫県川西市所在の「ときわ台カンツリー倶楽部」と「一庫レイクサイドカンツリー倶楽部」には数千人の会員がいました。
ところが、同社は2008年3月、「チェリーゴルフグループ」から経営支援を受ける旨表明し、2009年3月、「チェリーゴルフグループ」から各会員に対し、「当社は預託金を引き継いでいない。従前の会員権を1万円で買い取る条件に応じれば、プレーを続けられる。」との通知が送付されてきました。
その結果、多くの会員は、
①預託金の額の如何を問わず、会員権を1万円で買い取ってもらった
②「一庫開発」と預託金の長期分割返還合意を交わした
③納得できないながらも、そのままの状態になっている
という形で、いずれも預託金の返金を満足に受けられなくなっています。

■消費者被害としての側面

本件には、以下の点で消費者被害的側面があるといえるでしょう。
・特定のグループ会社が、融資・売買・土地の賃借等の形を分担しつつ、全体として営業譲渡を受けたと評価できること
・1万円での会員権買取りについても、グループ会社が担当していること
・そのため、一般会員にとっては、営業譲渡であることすら分からず、責任追及の対象が極めて分かりにくくなっていること
つまり、法的知識のない一般会員に対し、高額な預託金返還請求権をわずか1万円と引き換えに事実上放棄させ、返還請求を断念させているのです。

■先行訴訟

2011年3月、会員権の買取に応じなかった会員が、一庫開発およびチェリーゴルフグループの関連会社等を相手に裁判を起こしました。また、その内容が、朝日新聞2011年7月3日付け朝刊で大きく報道されたことをきっかけに、泣き寝入りしていた同種被害者も訴訟に参加し、最終的に原告は4人となりました。
この裁判において、被告らは、「被告ら以外のグループ会社が、一庫開発から土地や建物という個々の資産の譲渡を個別に受け、また、既に解除されていた土地賃貸借契約の地主と新たに契約を締結し直し、設備投資と従業員の新たな採用を行ったうえで、全く別の新たなゴルフ場の運営を開始したものである。」などと主張して全面的に争いました。
しかし、訴訟を通じて、本件がグループ会社による事実上の買収(営業の譲受け)でありながら、事実上、預託金返還請求権を放棄ないし泣き寝入りさせるやり方であることが明らかになる中で、最終的には裁判所からの勧告により、2015年3月20日、4人の原告と被告両社との間で和解が成立しました。